気持ち悪い……。
耳を塞いでも、聞こえてくる声に吐き気がくる。

「…なつき?」
「…姉…ちゃん…」

制服を着た姉さんが、僕を目に捉えた。

ダメだよ、姉さん。こっち来ないで。
姉さんにまで…聞こえたら…嫌だ…。

「…そっか、泣きたくなっちゃったのか。…泣いて良いんだよ、なつき」

姉さんがゆっくり僕のとこに近づいて来る。

違う。違うんだよ、姉ちゃん。
来んな…来んなよ…、これ以上、姉ちゃんを悲しませたくないんだよ…。

「捕まえた。…ごめんね、なつき。一人にして…」

姉さんがただ泣く僕の肩に手を回した時だった。

「可哀想だけど…なつきくんは残ることになりそうねぇ」

聞こえてしまった。
身勝手な大人たちの言葉が。