「…あ〜、もしもし?紅人さんですか?」



紅人さん…だと…?


…って、おいぃぃ!


何してるの?!
何で電話してるの?!

というかみかが"紅人さん"だなんてレアすぎる!!!


「はい、そうです。美月の友達です。
今どこにいます?
あっ、そうなんですか。あの申し訳ないんですが美月の忘れ物届けてくれませんか?
どうしようどうしようってうるさいんですよ。

…机の上に置いてあるやつなんですけど…
…それですそれ!
ではお願いします。はい。失礼します」



電話を終えたみかは疲れたと言いたげな顔で私に携帯を返した。



「みか!何で電話なんて!」


「もうすぐで紅人、来るよ」



って私の質問は無視かい!

…紅人先輩が来るんだ…
き、緊張する…



「ちゃんと家の中に入るよう紅人に言ってよ?」


「…」



はぃ?

玄関で終わりではダメですか?



「もしかして美月ちゃんは私の努力を無駄にしようとしているのかな?
男に電話なんて一生無いと思ってたのにな〜?
無駄にしちゃうんだ〜」



"無駄"という言葉を強調して言うみかは怖い。


若葉に助けを求めようと見ると、頷いちゃってるし…



「…分かったよ…上がってもらうから」


「よしっ、頑張れ」



そうやって応援してくれるみかと若葉は優しいと思う。