「…ッ…遊んでねぇよ。マジで付き合ってる」
「冗談はやめてくれる?」
「みか…ここ病院」
「あっ…ご、ごめん」
私はもう一度蹴ろうとしたみかを止めた。
そして浅野の前に立った。
「本当にえみと付き合ってるの…?」
「…だから本当だっつってんだろ?」
「えみは松坂と付き合ってるんじゃないの?」
「フッ…俺が脅したんだよ。俺と付き合わねぇと玲海に酷いことするってな」
脅した?
マジでこいつ馬鹿?
「…ッ今すぐこの病院から出ていけ」
みかが浅野を睨みながら言った。
「…悪いけど出ていかねぇから。俺、えみの彼氏なんで」
パンッ!
「…ッ」
私は浅野の頬を叩いた。
頭で考えるより先に手が出ていた。
「美月?」
若葉が心配そうに言った。
でもその言葉は私には届かない。
だって今の私は浅野しか見えてないから。
「…何すんだよ…お前には関係ねぇだろ?! 」
「関係大ありよ!えみの親友なんだから!」
「…邪魔するな」
「邪魔してるのはあんたでしょ?!
浅野はえみのことが好きなんでしょっ?!だったらえみの幸せ願ってあげなさいよ!?」
私はここが病院だということを忘れて叫んでいた。
「無理に決まってるだろ…
俺は人の幸せを願えるほど強くねぇんだよ…」
「だったらえみのこと諦めなよ」
「は?」
「えみの幸せを願えないんでしょ?だったら諦めなよ」
「…んな簡単に諦められるかよ…」
「…ッ浅野が言ってることは矛盾してるのよ!? どちらかにしないとえみは傷つくだけ!
好きなら好きなりにその人の幸せを願うの!分かった?! 」
「……ったく…
諦めねぇけど…美月がそこまで言うんだったら…願ってやるよ。えみの幸せ」
「浅野…」
「初めてなんだよな…俺」
「何が?」
「振られるの、初めてなんだ」
「ナルシスト…」
「あ?誰がナルシストだって?」
「浅野」
「うるせっ」
一件落着かな?
あとは松坂とえみだけだね…
良かった良かった…