盲腸で病院に入院した時に、テレビカードが夜中に切れた。
仕方がないから、カードを売っている自販機に向かった。
真夜中の病院の廊下は、薄気味悪い。
そそくさと、私は先を急いだ。
自販機でカードを買った瞬間、曲がり門に、おじいさんが長椅子に腰掛けていた。
私は一瞬驚いたが、
すかさず頭を下げた。
個人病院では入院患者は挨拶を交わすからだ。
おじいさんは反応がなかった。
一点見つめたままで微動だに動かない。
私は怖くなったが、ルールを守るタイプなので、病院の廊下を走る事は出来ず、早足で病室に戻り、慌てて布団に潜り込んだ。
5分後…
「○○さん駄目ですよ勝手に出歩いては…」
廊下で響き渡る、看護婦さんの声。
一斉に電気がつき、
患者が廊下に集まった。
さっきのおじいさん が看護婦二人に支えられ個室に運ばれたいた。
それから数日後、ジュースを飲みたくて食堂に行くと、同じおじいさんが居たが今度は、私は驚かなかった。
食堂の自販機は、パックのジュースしかなく私は一階の玄関前の自販機まで足を運んだ。
缶を捨てないといけないから、私はその場で、ジュースを呑んだ。
すると、緑色の光が見えた。
緑色の光は、エレベーターの開いた時の中の電気だと気付く、エレベーターからおじいさんが降りてきた。
そして、支える様に
紺のカーディガンを着た看護婦の姿が見える。
私は、なんだか嫌な感じがして慌てて病室に戻った。
いつの間にか眠っていた私が
キーンと耳鳴りがして目が覚める…。
すると、病室の電気が付き看護婦が現れた。
「○○さん居ませんか」
あのおじいさんだ。
あちらこちらを三人の看護婦が捜していた。
誰かが、一階の喫煙所に座っていたと
おじいさんを連れて来た。
「なんで○○さんが階段を」
看護婦達は大騒ぎだった。
私は、同じ病室のオバサンに先程おじいさんを見た事を話した。
オバサンが看護婦に私の話を伝えると
看護婦が驚いたように聞いた。
「看護婦って、この中の誰か」
私は顔は見てないが、カーディガンを着ていたと伝えると、看護婦が青ざめ、
そのまま黙って、行ってしまた。
取り残された私に
オバサンは意味深に笑うとこう囁いた。
「暑いのにカーディガンって
アナタ何を見たのかしらね
○○さんが1人で階段は無理。
エレベーターも無理1人では乗れないもの。この病院の噂の一つ…怖いもの視ちゃったのかしら」

病院の夜は怖い…。