もうすっかり空はオレンジ色になった。
「お前ん家、どっち?」
「あっち」
右側をさすと、大ちゃんは笑って「俺も。」と言った。
「チャリ取ってくるから待っとけよ」
走り去っていく大ちゃんの後姿を見つめる。
今日は色々あったな。
なんてオレンジ色の空を見つめてそう思う。
そうだ、スマホ返してもらわないと。
「待たせたな」
自転車を押した大ちゃんが此方に向かって走ってきた。
最初は嫌な奴って思っていたけど、案外良い奴なのかな。
『不器用なだけなんだよ』
渡辺くんが言っていた通りかもしれない。
大ちゃんの顔を見て笑ったら、不思議そうな顔をした。