「今日、付き合ってくれたお礼っつーか……」
「え、そんな、いいよ。悪いし」
確かにひつじは欲しい。でも長谷川君が頑張って取ったものを私が貰っていいわけない。
「や、ほんといいって。それやるからさ。
だからその代わり、……んって……ょ」
大ちゃんが左下を見ながらごにょごにょと何か小声で言うけれど
私の耳まで届かない。
「え?何て言った?」
「だから、大ちゃんって呼べって!!」
私の目を見てそう言った長谷川君の顔はなんでそんなにっていうくらい真っ赤で
それはもうゆでダコみたいで、思わず笑ってしまった。
「なんだ、そんなこと?」
「そんなことって、俺は真剣に言ってんだよ……」
大ちゃんって呼ぶだけで、ひつじが貰えるんならそんなのお安いご用。