「げ、大輔だ。じゃ、俺はこのへんで」
逃げるようにこの場を去る彼は第一体育館の方へ向かった。
第一体育館はバスケ部、だったっけな。
「ちゃんと待ってたんだ」
偉い偉いと私の頭を撫でる長谷川くん。
あんたが待ってろって言ったんじゃないか……!なんだその子供扱いは!
と普段ならキレているところだろうけど、今の私は上機嫌。
「ふっふっふ、可愛い奴め」
背伸びをして、長谷川くんの頭を撫で返す。
【あいつ、多分、佳澄ちゃんのこと気にいったんだと思うから】
そんな一言だけで、現金なやつだと自分でも思う。
けれど人から好意をもたれて、嫌と思う人はいないだろう。
「ンだお前。きもいな」
…………前言撤回だ!!