「へえ、そう。じゃ、俺約束あるから」
長谷川くんは、外していたボタンをきっちりとしめ、ネクタイもきちんとしめた。
めがねをまたかけ、髪の毛を少しだけいじったらさっきの地味な長谷川くんの完成だ。
ひらひらと此方も見ずに、手を振って去っていく長谷川君。
「自分のクラスも名前も言わないで行くのかよ」
一人ぽつんっとその場に残された私。
多分1年だよね。なんであんな格好しているんだろう。
大輔、渡辺さんがそう呼んでたっけ。
まあいいや、今日のことは綺麗さっぱり凡て忘れよう。
そう思った私は、一人、家へと帰った。