心で言ったつもりだったのに、思わず声に出てしまったその言葉。
咄嗟に訂正しようと、あたふたする。
「げ、あ、あの、今のはそういうわけじゃなくて……!!」
でも何を言っても、もう本音を言ってしまったことには変わりない。
どうフォローすればいいのかがわからない。
そんな私に長谷川君は不敵な笑みを浮かべた。
「聞きづてならないですね。それは」
そう言った彼はネクタイをしゅるっと外した。
そのまま第一ボタンどころか第二ボタンまでもを外し、めがねも取って髪の毛をくしゃくしゃっとセットする。
「え………?」
別人、かと思った。それくらい、人が変わった。
今の変化を見てなかったら多分、別人だと思うだろう。