「いやー!桐!ありがとうな!卵安売り4パックゲットだ!」

四季はとても嬉しそうに言った。
四季の《デート》の意味は、近くのスーパー“昭和堂”での卵1パック10個入りの安売りに連れて行くことだったらしい。

「本当は弟連れてきてゲットしたかったんだけど、あいつ今日部活でさ…」
「それで私なの?」
「そ!夕飯誘いたかったし、ついでにいいかなって、さ」

私は思わず立ち止まってしまった。
四季も立ち止まって私の方を見る。その顔はとても優しく笑っていた。

きっと私が言ったら迷惑ばかりかけてしまう。だから断ろうとした時、四季が先に言葉を発した。

「迷惑なんて思ってねーし、私がやりたかったことなんだからさ」

エスパーか。來もだけど、なんで考えてることわかるの。口に出してないよね、私。

四季が私の手を掴んで歩きだす。
決して走るのではなく、私の歩幅に合わせて歩いてくれる。この行為はきっと無意識にやってるんだろうな…この人は。

私、四季が男だったら絶対惚れてる。
てか、絶対モテてるわ。天然タラシになってそうだ。

「桐、お前変なこと考えてるだろ」

だからなんでわかるのよ。

この後、四季のスーパーへの愚痴を聞きながら家へ向かった。