帰宅をすると私は、すぐに自室に向かった。
机に向かい、目の前にある教材に手をつけた。
もっと、勉強すれば…。もっと賢くなれば…
その一心で教材を進めていた。
1番は、他の誰にも譲らない。
私の居場所をこれ以上、奪われたくない。
ふと、隣の部屋から声が聞こえた。
勉強に集中していたからか、時間の流れに気づかなった。
その声の持ち主は、優里と瑠里それから、父親と母親だった。
楽しそうな笑い声が聞こえた。
聞きたくない、耳を塞ごうとしたら…。
「美麗は、こないの?」優里が言った。
私の名前が聞こえて耳を塞ぐのをやめた。
「美麗は、勉強してるのよ。」そう一言。
なんだか、悲しくなった。
誘いの声すらなかった。
夜、喉が乾いて飲み物を取りに行こうとした。
声が聞こえた、両親の会話だった。
そっと、耳を澄ませた。
「はぁ、なんで美麗は私達と違って出来がわるいのかしら。白桜財閥の長女だから、今後のことも考えてもっと立派になってもらわないといけないわ。優里達は、容量もよく、白桜財閥に相応しいのに…」
母親の言葉に身が重くなった。
それに、続けて父親も言葉を発した。
「美麗にかけても仕方がないだろ、これ以上上がることに期待なんてしないで、下がらないことだけを祈ろう。白桜財閥のことは、優里たちに任すとしよう。」
その場から立ち去る勇気もなかった。
居たくないのに、足が動かなった。