頭の中では分かっているのに、体がいうことを聞かない。
空を見上げると火の塊が何個も落ちてくる。
だけど…
なぜか不思議に、それをみても逃げようなんて思わなかった。
このまま死んでしまおう。
もう、家族とははぐれて、きっと死んでしまったんだから…。
その時、
『何してるんだよ!早く起きろ!寝てる場合じゃないぞ!』
え……?
目を開けると私に向かって走ってくる、影。
『起きろ!空襲だ。起きろ。早く掴まれ!』
誰だろう、この男の人…。
よくわからなかったけど手を強く引っ張られて体が起き上がる。
そして、私は今になってゾッとした。
本当に近くに爆弾は落ちてくるところだったのだ。
彼に手を引かれて走り続ける私。
でも……。
この男の人は誰なの…?
どうして私を助けてくれるんだろう…。
誰なんだろう。