一面真っ黒な焼け野原。
がれきが積み重なり今にも崩れてきそうだ。

遠くからは親を探し、声を枯らしながら泣き叫ぶ小さい子。
子を探し、探し果てたのか子供を見るたびに、我が子の名を呼びながら顔を覗く親。

疲れ切って動けずにいる年寄り。


皆、それぞれの思いを抱きながら生きている。
そして、大切な人を探そうと生きている。


なんて、無残なんだろう。


この焼け野原に何が残っているというのか。
失ったものはもう取り返せないのだ。
戻ってこないのだ。




もう……何もかも終わりだ…。





私は地面にひざまずいた。



なんでなんだろう。



何も悪くない私たちが…。




なんで……。

そのまま何となく地面に横になった。


段々と意識が薄れて眠くなってくる。


ここ何日も警報がなって落ち着いて寝られなかったからだ。

ここで、少しだけ寝よう…。





その時、ハッキリと聞こえた。
町中に鳴り響き、人々が建物の中に入って行く。

空襲警報だ。




逃げなくては……、殺される。
逃げなくては…。