「夕飯の食材買いに行かなきゃな。買い物行くけどついてくるか?」
竜兄は出かける準備をしながら、聞く。
「行く〜。」
私も行く準備をする。
プルルル、プルルル…
すると、家の電話がなる。
「もしもし。」
竜兄が受話器を取る。
「はい、ちょっと待っててください…希奈、電話〜。」
電話?
友だちとかだったら、携帯使うし、誰だろう。
「はーい。ありがとう。もしもし。」
私は受話器を受け取る。
「もし、もし…希奈…元気?」
え?
誰?
こんな声聞いたこと無い。
私は受話器から耳を離た。
「竜兄…希奈、この人知らない。」
私は小声で言った。
「は?希奈が忘れてるだけじゃないのか?」
「そうだよね〜。希奈の名前も知ってたみたいだし。」
私は受話器を耳に近づける。
「えっと〜、お名前をうかがってよろしいでしょうか…」
しかも、竜兄の家に電話かけるなんて、おかしすぎる。
まだ、竜兄のことたくさんの人には言ってないのに。
「そうか。そうだよね。かなり前に会ってそれっきりだし。言っておくけど、僕、竜黒の友だちだよ?」
そんなこと言われても困るし。
そんなことはいいから、さっさと名のって。
とは、口には出せないでしょ。
でも、竜兄の知ってる人って事は…竜兄その人に私のこと言ったんだ。
「すみません。声だけじゃ、わからないです。」
「そっか〜。わかると思ったんだけどな。あ、僕は七屋 レン(ななや れん)だよ。わかるかな?」
え?
レン…って、明が大好きな?
でも、なんで、私に?
「…俳優のですよね?何故私に?」
「だから、前に一度会ってるからさ。希奈覚えてないの?僕一応、君の親戚だけど…。」
親戚…。
あれ?
なんか、嫌〜な思い出が…。