「"ワシラ"には終わりがないと言っている。だが、本の世界に入ってしまったお主にはリミットがある。それが…物語の終了ってことだぞ。この物語の主人公は常にお主なのだ。しばらくここにいるがいいぞ」
猫病子はそう言ってゆっくりと歩いて行った。
首の三つ編みがテンポ良く揺れる。
「死来世も、いいだろ?」
猫病子が聞くと星来くんは頷いた。
「俺はいいぜ。お前も…元の世界に帰れるまでここにいればいいんじゃねぇ?物語が終わればすぐに帰れるようになるはずだから」
『そ、それって…いつぐらいになるの…??』
「さぁ、本の厚さによるけど…それを決めるのは、お前だ。千聖」
私?!
よくわかんないんだけど?!
すると星来くんが私の目の前に手を差し出した。
「今日からよろしくな、千聖」
こうして…私は本の中に捕らわれてしまったんです。
『よろしくお願いします。星来くん!』