真っ暗な社の中に連れ込まれ

息がかかりそうな至近距離で


「やっべぇ、顔見えね・・・
さてと、連れ込んだとこで
キスしてぇんだけど・・・
どうっスかね?」


少しずつ暗闇に慣れてきた目は

目の前の総一の顔を捉え

思わず、後に下がってしまった。



「んな逃げなくても
無理矢理しねぇって」


「そんなことじゃ・・・
ヒゲ・・・
もう伸ばさないの?」


久しぶりに見る総一の顔には
もう不精ヒゲはなくなっていて
何だか、変な緊張をしてしまっている。



「あぁそうそう、真弓
ヒゲない方が好きなんだろ?」


不精ヒゲがないだけで
心臓に悪いほど
きれいな顔立ちで・・・


「ある方が緊張しないんだけど」


「は?何?じゃあ今緊張してんの?
マジで?」


驚いたような声で
後ずさりした私の方へ顔を近づけてきた。