茜side
私、上谷先輩の名前知らない。
「せんぱっ………」
苦しいっ……。
抱きしめる腕はどんどん強くなって、抵抗すらできない。
先輩のこと何も知らないんだなあと自分でもすごいと思った。だってさ、キスまでしてて、下の名前を知らないんだよ?こんなんでいいのかなぁ…?
「茜………」
呟くように私の名前を呼ぶ。
「先輩……?」
反射的に先輩のことも呼んでしまう。
いきなり、抱きしめていた腕を離すと顎を掴み、目を合わせられた。
「………?」
「なぁ、キスしていい?」
「えっ」
「………いい?」
「…………」
ど、どうしよう。
だってさ、え?き、キスしていい?って………。
「………え」
「今、キスしたら多分お前気絶するよ?」
「えっ…」
「茜見てると苛めたくなる。」
「ーーっ!!」
無理矢理唇を塞がれた。
「んんんっ…」
だんだん涙目になる。
いつもの強引なのと違う。優しい感じ。
「…………んっ…ふぁ」
唇をすぐに離した。
「舌、入れてよ。」
「えっ!」
「できるだろ?」
「できませんっ…」
舌、入れてよって………。
「無理ですよぉ…」
「無理じゃない。」
ふたたび上谷先輩の顔が近づいてきた。
「んふぅ…」
唇が重なり、強引に唇を割った。
「んあっ…んんっ…」
遠慮なく口内を犯す先輩。
「……ほら、入れなよ。胸触るよ?」
「んっ………やっ…やっ…あっ…!」
胸に違和感を覚えた。
上谷先輩の手が私の胸にある。
「んんっ…やぁ…んくっ…」
唾液が行き場をなくし、口の中から溢れだす。
やだっ、恥ずかしいっ…!
「やめっ……んはぁっ…」
一瞬離したと思ったら、首筋に行く。
「ひゃあっ…やめてっ…」
くすぐったい。身体の中がピリピリする。

………耐えられない!!

ドンッ!!!
「や、やめてくださいっっ!!」