茜side
上谷先輩は何がしたいんだろう?
私に気があるわけではないだろうし、やっぱりからかってるだけなのかな?
そう思ってしまうとだんだん悲しくなってきた。
だって、こんなスタイルと顔だしね…。メイクとかすれば私も変わるのかな……?
いや、やめておこう。
メイクしたところで……ねえ?変わらないっていうさ………。
上谷先輩は何を考えてるの?
処女だから興味があるの?

ガチャ…
ドアが開く音がした。
さっきのラブホのような部屋ではなく、上谷先輩の部屋に移動した。
黒で統一されたカンジの部屋で、CDが何枚か綺麗に並べられていて、洋楽やらバイクやらの雑誌が何冊かある。ギターをやっているのか一式揃っていて、高そうなコンボもある。この部屋は相当広いのか、スペースが空きすぎている気がする…。
「茜、平気か?」
「ぁ…はい…」
やっぱりなんだか警戒してしまう。
大きいベッドがあるし…。
「あ……やっぱり目立ってるな」
「……?」
上谷先輩の長い指が私の首筋に触れた。
「ひゃっ」
「痕になってる」
「え?」
「もっとつけたいんだけどねー…」
痕?あと?首筋に何かあるの?
「え…?何かあるんですか?」
「鏡見れば?」
くくっと笑いをこらえるかのようにも見えた。
「え……じゃあ見てき…うわぁっ」
立ち上がろうとしたら腕を思いっきり引っ張られた。
「どこにも行かせないよ?」
気がつけば上谷先輩の腕の中にいた。
て、ていうか私カノジョみたいになってない?上谷先輩のカノジョじゃないんだけど……。
「せんぱい……離してください」
そう、カノジョじゃない。
なんだかとてもさみしく思えた。
私自身ドキドキがおさまらない。上谷先輩がからかいでやっているのなら私ばっかり必死っていうこと…だよね?
なんでちょっかい出すようになったの?

抱きしめる腕はどんどん強くなっていった。