あらぬ方向への路線変更もステッキさんに却下され、遅刻イベントも発生しないまま、りおんの通学する中学校の校舎が見えてくる――。
「はぁあ――」
落胆するりおん――。
「どうした、りおん――」
「結局、イベント発生しなかったなぁ――何処でフラグ管理間違えたかなぁ――路線変更もなしだし――」
「当然だ――そんな都合良く物事が運ぶものか――路線変更にしても、私達はこれ以上、敵を作る事はできんのだよ――」
「つまんないっ――」
「人生とは、儘ならないものなのだ――りおん――」
「おはよう、りおん――」
「あっ、おはよう――」
小学校時代のクラスメイトが声をかけ、りおんを追い越してゆく――。
りおんの学校は、小中一貫教育校で、受験とは無縁だ――。
故に、小学部からのスライド入学が基本であり、転校でもしない限り、他の中学校に移る例は極めて少ない――。
良く言えば、気心の知れた仲間との継続性が保たれたままの進学が可能だが、一方で「新鮮味」に欠ける「風景」が更に3年間、続いてゆくという事実と向き合わなければならない――。