「お父さんが、嫌いって訳じゃないよ――きっと若い頃に、やりたい事を諦めて、わたしを育ててくれたんだと思う――」



「りおん――」


「顔も知らないんだよ――写真の1枚くらい、あっても良さそうなのに、その話になると歯切れが悪くなって病気で死んだの一点張り――」


「写真嫌いだった――とか誤魔化して――お墓参りにも行くけど、ここに眠っていないなぁって――」



「わたしが、精神的に成長したら、本当の事を話してくれるかなって――だから、待ってるよわたし――その日が来るまで――」


「誰も恨まず――日々を淡々と――魔法少女になっても――」


「いつか、真実が告げられてもし、母親が生きていたらさ――」


「生きていたら、その時りおんはどうする――」


「そうだね、正直嬉しいけど――やっぱり、殴っちゃうかな――」


りおんの表情に、涙はない――ある種の覚悟と確信が、瞳の潤いを支配し、呼吸をする様に無意識の領域で唇を動かし、蒼い惑星と広大な宇宙の海に言葉を漂わせている――。



「そうか――りおんらしいな――」


取り繕ったステッキさんに、りおんは軽く微笑んだ――。