『魔法遺伝子保有者は、ポーターと契約を締結し、魔法監理局の下において、魔法少女としての任務を正しく遂行する事を誓いますか――――』


画面に示される、見慣れた二つの選択肢――。



『いいえ――を選択した場合、直ちに魔法遺伝子強制剥離剤を投与します――これにより、魔法遺伝子の覚醒は以降、不可能となります――』


『剥離剤投与後、ポーターとの接触時から現時点までの遺伝子保有者の記憶を消去します――』





何を迷っているのか――――画面を見つめ、りおんは思った――。


一方を選択すれば、りおんが本来望んでいた普通の女の子の、普通な日常と人生が時を刻む――。


ステッキさんとのネタの応酬――魔法少女としての自分――その「普通」ではない人生――。


その記憶が消され、風呂から上がり、小説を読み、アニメのブルーレイを観るりおん――夜が明け、朝を迎え、「いつもの」日々が始まる――。




「深刻になるくらいなら、適当に決めた方が、いい結果につながる――――」


何処かで聞いた――りおんの意識の中に閉じ込められていた言葉――。


いつ、誰が言ったのか――。