「うんうん――――うぇ、うん――うぇ、うぇ――うん――」
「ステッキさん後ろ――って突っ込み入れた方がいいかなぁ――」
迷うりおん――。
「そうか――わかった――――」
ステッキさんは、会話を終えると神妙な面持ちでりおんを見据えた――。
「出撃――――」
「ちょっと、魔法遺伝子はまだ凍結中でしょ――」
「すまない、りおん――ネタどころではなくなった――敵がすぐそこまで来ていると連絡が入った――」
その声は低く真実味を帯びて、緊張感が上乗せされている――。
「あいにく、他の魔法少女達は各個人の事情で出撃できない――」
「それって――――」
「そうだ、りおん――君の魔法少女としての初陣だ――」
「出撃ですか――」
「全くイレギュラーな事態で、何ヵ所か手順を省く事になるが、これからりおんの魔法遺伝子を覚醒させる――」
ちょっと前まで、ごく普通の少女が日常生活を送っていた部屋が、緊迫度を増し、息苦しさを伴う空間に変化してゆく――。
「私を手に取れ、りおん――」
両手でステッキさんを握った――。