「くっ――――」


心の底から沸き始める小さな怒りをりおんは感じつつ、2番の枠をタップする――――。




サンプル動画―2番


残虐少女―凛寧―桃迦――(りんね―ももか)――





緩やかな風が吹く――。



膝まで達する白金色の少女の髪が月明かりで怪しく煌めき、そよぐ――。


少女の傍らには、白い豹がつき従い、対峙する人間を野生の眼が威嚇する――。




「何で――何でだよ――――大金つぎ込んで改造した車と娘達まで取り上げるなんてよ、話が違うじゃねぇか――」


男は地面にひざまづき、目の前に置かれた小ぶりなジュラルミンケースを複雑な感情で睨み、言った――。


ケースは既に開けられ、紙幣の束が整然と佇む――。



「いいじゃんアンタ――さっさと受け取って、借金返してやり直そう――」


女が男の顔を覗き込みながら言うと、少女の気が変わらない内にと、ジュラルミンケースを手繰り寄せた――。




「お前も見たろ、黒い霧が車を覆い、中で寝ていた娘達諸とも消し去ったんだぞ――」


「わかってるけど、どうしようもないよ――それよりさ、早く――」