りおんは最近、中学校の入学式を済ませた、まぁ何処にでもいる普通のメガネッ娘少女である――。


一人にしては広い10帖の部屋――ダークブラウンのフローリングに薄ベージュの壁紙と年齢にそぐわない質とデザインの家具類――。


天井にまで伸びる本棚が壁の一面を占有し、中央の大きく空いたスペースには、本棚とデザイン、色調が揃ったテレビボードが、奇跡的寸法の一致ではまる――。


そしておそらくは、お年玉や毎月のお小遣いをやりくりして奮発した42インチの4Kテレビがボードの天板に鎮座する風景が、りおんは気に入っている――。


主役の脇を固める様にテレビボードの棚には、ブルーレイレコーダーと再生専用のブルーレイプレーヤーが片方の上下の棚に設置され、もう片方には父が買い替えるからと譲り受けた、1年半落ちのミドルクラスのマルチチャンネルアンプがどっしりと腰を据える――。


天板の両端に、同じく譲り受けたアメリカ製マルチチャンネルスピーカーセットのフロントスピーカーがスタンドにセットされ、テレビの中央部にセンタースピーカーが画面に干渉する事なく置かれている――。


巾木を巧みに利用し、部屋の角から天井へとスピーカーケーブルを這わし、苦労して天井付けされたサラウンドスピーカーに自らの誇りさえ覚えるりおん――。


さすがに、重低音を魂に響かせるサヴウーファーは本棚とテレビボードの「仲」には割って入れず、離れた場所にインシュレーターを噛ませて設置されている――。


普通の少女からすれば、「可愛げ」のない部屋模様――。