首をステッキさんの方向にりおんは僅かに傾け、切なく言った――。



「いやぁ、りおんさん――逆にお願いしますよ本当に――」




「よいしょっと――」


りおんは、ふっ切れた様に言い、しなだれた躰を解き、身を起こした――。


「立ち直り早っ――」


「だってここまでやっても、諦めて帰ってくれないんだもん――」


「私にも営業ノルマがあるからね――」


「あぁ、そのネタまだ引っ張るんだ――」


「魔法遺伝子を持つ少女は希少だから、必死にもなるさ――」




「うん、わかった――もうきりがないから、魔法少女になってあげるよ――それで雑巾一番搾り味のお茶、飲まなくて済むんでしょ――」




「はぁいっ――」


りおんの迫力に、妄想の日常までも認めてしまったステッキさん――。



「それではりおんさん、こちらを観て頂けますか――」


かしこまった物言いで、ステッキさんは身を捩らせてタブレットを「召喚」させ、りおんに渡す――。



「何を観るの――」


「魔法少女のカタログみたいなものだよ――」


「どんな衣装、どんな魔法少女になりたいか、とか――」