ええいっ――もう適当だあっ――――。
「あぁ、はいはいわかりました――契約っ、契約しますっ――よろしくお願いい、た、し、ま、す――」
両手を広げ、わざとらしくかつ、半ば投げやりでりおんは宣言した――。
ステッキなのに、「ニヤリ」と口元を緩める姿が、りおんの脳内スクリーンに映る――。
「ただし――」
さて、本契約をと準備しようとしていたステッキさんは、不意をつかれる――。
「3ヶ月経っても楽しくなかったら、辞めるから――」
「ほえぇ――」
「お試し期間だよ――」
「あ、あのうりおんさん――要は試用期間って事ですよね――」
ステッキさんの問いに、りおんは得意気に2回頷いた――。
「いやぁ、あのう、あのですね、それって雇われる側じゃなくて、雇う側が決める要項とわたくし理解しているのですが、りおん様は如何お考えでしょうか――」
しずしずとステッキさんはりおんの顔に近づき、かしこまって労働社会の常識を説く――。
「はぁあ、何言ってんの――」
ちょっと怖い剣幕で、ステッキさんを鷲掴み、脅す様に迫ったりおん――。