「誰――――」


風呂から上がり、部屋に戻ったりおんは、怪訝な眼差しで言った――。



「初めまして、りおんさん――――早速で唐突で、てめぇ何言ってんの――って思われるかもしれませんが――――」


そう言いながら、じりじりと、かつ慎重にりおんに近づいて――。




「私と契約して、魔法少女にならないか――――」


カッコつけ半分、必死さ半分の声色で、りおんに迫った――。






「やっちゃったね――」


「え――」


「定番ですね――――契約、魔法少女――はぁ、まぁ確かにそうなっちゃうよね――――」


「うっ――」


「んまぁ、こうするしかないか――――突如現れた、謎のステッキ状の物体が何故か言葉を喋り、挙げ句、契約の名の下に魔法少女になりなさいと、一方的かつ不条理なご提案――状況を把握できず、あたふたする少女の様子に自身の内部から沸き上がる快楽を楽しみ、有利に立った立場で、魔法少女としての特典をくどくどと説明する――」



ステッキ状の物体をスルーし、湿り気のある髪をバスタオルで拭きながら、りおんは少し落胆混じりに言い、マットレスに腰掛ける――。