記憶のなかの母は


香水くさくて


長い髪を

なびかせ


母親というよりは

あきらかに

女だった。



いつも

男に抱かれて

帰りは

朝で


ひどいときは

わたしが

学校に

いくまでにも

帰ってこなかった。



なじられた

記憶なら

あるけど


抱かれた

記憶なんて

一度もない。



水商売なんて

大嫌いだった。


けど-



この街で


天下をとるんだ。


わたしが

この街の

ナンバーワンで


女王なんだ。