記憶のなかの母は 香水くさくて 長い髪を なびかせ 母親というよりは あきらかに 女だった。 いつも 男に抱かれて 帰りは 朝で ひどいときは わたしが 学校に いくまでにも 帰ってこなかった。 なじられた 記憶なら あるけど 抱かれた 記憶なんて 一度もない。 水商売なんて 大嫌いだった。 けど- この街で 天下をとるんだ。 わたしが この街の ナンバーワンで 女王なんだ。