「水嶋・・・。」

彼は水嶋だった。
そして私は彼の名を
静かにつぶやく。

「風邪ひくぞ?入りづらい?俺と飲み物買いに行くか?」

嫌になるほど優しかった。
何故だろう?

やめてよ・・

本気で恋しちゃいそうじゃん・・。

「一緒に・・行く。」

私は断れないまま立ち上がった。
すると水嶋はニッとわらって
歩き出す。


雪の降る夜7時の街を
二人でとぼとぼ歩いていた。


「男苦手?」

水嶋がふっと振り向いて
おどおどしてる私に
問う。

「そ、そんなわけじゃないけ・・ど。」

私はほどけ掛けのマフラーを
直しながら答えた。