─マンション

302号室と貼られた板の下に
《碓氷》という表札がぶらさげてあった。

私はチャイムを押そうとして
手を伸ばすが、それを
ひっこめた。

羽美の家の中から男の声がきこえたからだ。

男が苦手、ってわけでもないけど
あまり好ましい存在でもなかった。

そしてしばらくそのチャイムの
隣にある扉の傍に私は座り込んだ。

あーあ・・イヤになっちゃう。

そんなことばかり考えていて頭の中は
ぐちゃぐちゃだ。


ガチャ・・・。

すぐ隣で扉が開く。


誰!?