「《今どこいんの~~》」

だめだ、聞こえてしまう・・・。
聞くつもりはなかったのに・・。

そんなことを思いながら
手元にあった飲み物をとって
口に流し込む。

ああ!聞こえない聞こえない!!

そうして自分に言い聞かせる。
こんなの、痛い子だけどね・・。

「今?友達の家。」

そういって水嶋は席を外して、
羽美の家の廊下へと足を運んでいた。

「ねね、霞織ちゃんはカラオケとか興味あったりする??」

男が私にしゃべりかけてくる。
なんだコイツ・・。

「え、あ、よく友達と行ったりしますよ!」

愛想笑いをして逃れようとしたが、
簡単にいかなかった。

「今度俺らと行かない???」

そんな誘いに断る空気も流れず、
ただただ俯いて戸惑う。
ああ、もういやだ、苦手だ。

「あ、コイツと行っても盛り上がらねえからやめとけ。」

私の隣にどかっと座り込んで
憎まれ口をたたいたのは
電話を終えた水嶋だった。
座り込むときにふわっと香水の匂いが
私の鼻に触れる。

「ちょっと・・!」

そんな憎まれ口に対抗してみる自分。