「お、遅れてごめんっ!!」
「おぉ、って、バカ!! 走るなって!」
悠輝の待っている場所に小走りで近付けば、逆に怒られてしまった。
あれから私は悠輝と付き合うことになり、毎朝一緒に登校するようになった。
……悠輝には私の今までの事を全て話した。
それを聞いてなお、悠輝は私と居ることを選んでくれた。
「お前……走ってきてくれんのはありがたいけどさ、もし転んだりしてお前が怪我したら元も子もないだろ?」
悠輝はそう言いながら私の頭を優しく撫でてくれる。
私はこの手が好きだった。
いつも優しく、私を受け止めてくれるこの手が……悠輝が、とても好きだった。