横を見るとえりが保健室の椅子に座っていた。


「えり?」


「もーっだから無理すんなって言ったじゃん!」


少し怒った感じのえりの声。



「ごめんね?ずっと着いててくれてありがと。」


「着いててくれたのは、あたしじゃないよ。」


え?


「佐藤くんが部活始まるまでここにいてくれたんだよ?」


うそ…


ひろが?


「じゃあ、誰がここまで運んでくれたの?」


「佐藤くんだよ。あや、なかなか目覚まさないから佐藤くんすごい心配してた…」


じゃあ私が体を預けた相手もひろで


ここまで運んでくれたのも…


ひろ…



「あ!それより鞄とコート。」


えりが教室から私の鞄と白いコートを持ってくれて、それを私に手渡す。


お礼を言う間もなく白いコートを着て鞄を持って校庭に走り出した。


「あや!?」


と叫んだえりの声など全く耳に入らない。