困っていたら大きな影が私に近づいてきた。


「ひろ…」


そして小声でこう言った。


「ったく。不器用だな。」


慣れた手つきで風船を取るひろ。


ひろは将太くんのところに歩いてきてしゃがんだ。


「はい。離しちゃダメだよ?」


きゅん…


いつもいじわるなひろが優しい目をして子供と話してる。それだけのことなのに、胸がドキドキしてとまらない…


「お兄ちゃん。ありがとう。」


「よかったね。」


私もひろの隣にしゃがみ、将太くんに向かって笑った。


「お姉ちゃん。風船大切にするね。」