「や、私は約束があるから。」 「いーじゃん、ほら」 ジリジリ後ずさる私の腕を掴んで引っ張って行こうとする。 こういう強引なところが、苦手なのだ。 太一は…慣れてるから別だけど。 信頼関係もなく触られるのはあまり好きじゃなかった。 「悪いけど、俺と約束だから。」 そんな私たちの間に入ったのは、間違いなく。 「…太一。」 見間違うはずのない背中だった。