俺の人生2度目にして最後(になるはず)の彼女が目の前でいじけている。


「おい、菜々子。機嫌なおせって。」


伊藤菜々子。

少し前の卒業式で、やっと俺の彼女になった、大切な人だ。


肩くらいまでの黒髪はさらさらといい匂いがして、顔は小さくて強気な双眼がいつも俺を射抜く。


モテることにこいつは気づいていないがーーつまりはそう、可愛いってこと。