明日香のことはわかるが、高校に入ってから友達になった人は全員わからなかった。


しかも初めに病室に入ってきた男の子は私の彼氏だったらしい。

自分が高校生になっているなんて……
自分に彼氏がいたなんて……
想像できない。
だって私の心はまだ中学生で止まってるのに……。


病室には5人の同級生が来てくれた。

「ごめんなさい。明日香以外の人は覚えてないの。」
目の前の知らない人たちが自分と一緒の時を過ごしていたなんて、考えられない。

「病院の先生も『きっと一時的なものだから、すぐ治る』って言ってたし大丈夫よ」お母さんが言う。


「そうだよな！記憶が戻るまではまた、一から友達ってことで！俺は佐々木 光輝！
１年のときからずっと同じクラスで、同じところでバイトしてたんだぜ。」
人懐っこい笑顔で私に手を差し出す。
「よろしく」

「あたしは夏目 悠莉。高校で一番最初に友達になったのはあたしなんだよ??
今年はクラス離れちゃったけど、今でもすごく仲よしだったの。」
すごく、綺麗な長い髪。まるでモデルさんみたい。
「よろしく」