「奈保!」


夕方に入ってきたのは全く知らない男の子。

「本当によかった。」そう言って抱き締める彼を私は知らない。

「誰ですか。」


「奈保、なにいってるの??圭太くんじゃない。」

「知らない。あたし知らない。」


目の前の男の子はただ呆然としていた。



私は記憶を失ってしまっていたのだ。
中学3年生の途中からの記憶を。