「そういえば呉汰くんってここら辺の人?
 どーして公園で寝てたの?」
蓮ちゃんは初めて呉汰に逢ったときの疑問を思い出し、質問してみた。
「…父親とケンカして走ってきたらここに着いた」
呉汰は逃げてここにきたのだ。
父親のようになりなくたいと言って、そう言われた父のあまりの悲しそうな目を見ていられなくなり逃げ出したのだ。
「そっか…呉汰くんは逃げてきたんだね」
「…違う、俺は逃げてなんかいない」
呉汰は立ち上がる。
図星を指され、いたたまれなくなった。
呉汰は逃げたつもりもなかった。
逃げることは気持ちが、心が弱い人のやることと思っていた呉汰。
それを自分がやっていたなんて思いたくなかった。