「で?呉汰くんの悩みって何?」

いつの間にか名乗りあっていた二人。
蓮ちゃんは犬・神楽んをお座りさせ、自分も呉汰の隣に座った。

「え?別に人に話すようなことじゃないし…」
「…神楽坂!!」
蓮ちゃんは犬・神楽んを自由にさせた。
犬・神楽んは呉汰に飛びついてきた。

「わぁ~解かった分かった。
 お話します」
見事なへたれキャラな呉汰。
敬語がお似合いだ。
男としては情けない声を出してしまった。

「神楽坂、おすわり」
犬・神楽んはク~ン(もう終わりかい?つまらんのぉ~)という声を出した。
そしておとなしく座った。
「ん~何と言うか…。
 父親が嫌なんだ。
 嫌いってわけじゃないんだけど。
 父親って頼れる、憧れる人でいてほしい。
 って思ってる部分が俺にはあって…さ」
呉汰はだんだんと下の方に目線を下げた。