大ちゃんとは、大門家のことだ。
流汰じぃの友人だ。
畑仲間といったところだ。
家が数百メートル離れたお隣さんだ。

ごっつい男はそこの息子、大門 朗君(だいもん ろうくん)、消防士をしている。
本日は休みのようだ。

そして、呉汰は朗君のことをまったく覚えていない。

「久しぶりだな、呉汰」

ごっつい身体。
どうしてこんなに焼いているんだ?と疑問視せざるおえないほどの顔の黒さ。
真っ白な歯。

「はい…。」

あからさまに覚えていませんという態度をとる失礼な呉汰。

「何だよ、覚えてないのかよ。
 大門 朗君だよ、
 小さい頃、夏休みお前がじいちゃん家来た時、遊んだじゃね~か。
 鬼ごっこばっかりだったけど…。」

朗君は懐かしそうに呉汰を見て思い出話をした。

「あ…。」
「お、思い出したか?」

朗君は嬉しそうに言った。

「あ?」
が…呉汰は思い出していなかった。

「まっ、いいや、じゃ~じいちゃん。
 いつでもいいから、うちに来いよ。」

朗君は呉汰をあきらめた。
面倒になったのだ。

「うん、有り難う」
流汰じぃはかわいく首を傾げ言った。

「じゃ~またな、じいちゃんに望ちゃん。
 あと呉汰!!俺のこと思い出しとけよ」

朗君は呉汰を指さした。