祖父流汰じぃは黒こげになって跡形もなくなってしまった我が家を眺めていた。
その背中は泣いていた。

祖父流汰じぃが妻・望との結婚を決め、一年後に息子の向汰を身ごもりこの家を建てることを決めた。

一生懸命、毎日毎日畑仕事をやり抜き、幸せな時を過ごしてきた家。
それが今をもってなくなってしまったのだ。

「おじいちゃん……。」
呉汰は祖父の肩に手をポンと叩いた。

「呉汰…。
 これからどうやって暮らしていこう。
 家なくなっちゃった。野宿?
 野宿は嫌だよ。
 年寄りに外は辛いよ。
 嫌だぁ、嫌だぁ。
 呉汰ぁどうにかしてよ。」

だだをこねる75歳。
引いてしまった孫 呉汰。

「じいちゃん、うちくるか?」

ごっつい男はひょいっと言った。

「大ちゃんとこの息子さん…
 お願いします。」

即決であった。

祖父流汰じぃに遠慮というものはなかった。