「何なんだよ。バスジャックしたんなら、オドオドしてんじゃない。
 と、いうよりもう止めた方がいいと思う。
 あなたはもうこの運転手さんになめられてる。
 ここで何もしないなら、未遂なら俺は黙っているから、
 あなたはただのバスに乗った人!」

呉汰は天王にバスジャックを止めさせようとした。

なぜなら、天王には出来っこないからだ。

「アハハ、そうだね、あんた。
 止めな、止めな、こんなこと。
 このままバスジャックなんてやられたら、私が怒られるんだし。」

月島はうまく運転しながら言った。

ここで呉汰は疑問に思った。

「なんで、あなた(月島)が怒られなくっちゃいけないんですか?
 犯人が捕まるだけじゃないんですか?
 悪いのはこんなことした犯人なわけですから。」

呉汰はイライラをもう忘れていた。

「あんな~それが大人の世界。社会なんだよ。
 サービス業は迷惑を客にかけてしまった時点で私のせい。
 不審人物を乗せてしまったことは私のミス。
 これが社会!!
 責任をとらないといけないわけ」

「理不尽だ。」
呉汰は言う。

呉汰は鏡ごしで月島の仕方ないのよっといったような顔で微笑んでいるのを見た。

「そうなんだ。理不尽な世界なんだ。」
天王がいきなり叫びだした。

呉汰も月島も買い物袋を持ったおばさんも子供をつれた若い母親もみんな驚いた。