(このバスに乗ってれば着くな)

一人旅。

したことのない少年は少々ドキドキしていた。
始めてのおつかい気分だ

呉汰はもう学校でのことを忘れた。

呉汰はバスの一番前の出入り口のドアの近くの席に座った。

運転手を見たら女性だった。

窓の外は何もない山道へと変わってきた。
ビルが見えないせいか、多くの車とすれ違わないせいか、木ばっかりの道のせいか、空気が美味しく感じた。

昼下がりなので、バスに乗っているのは。

呉汰に、買い物袋をさげたおばさんに小さい子供と若い母親の4人だった。


そして、このバスでも呉汰のツイていないことは続くのだ。