呉汰はバスに揺られながら考えていた。

イライラしていたとはいえ、クラスのみんなが見ている前で、湯島にやつあたりなんてして…みっともない。

呉汰は学校での自分の過ちのことばかり考えていた。

そりゃ考えたってどうしようもないことは分かっている。
時間は戻ってきてはくれない。

呉汰の言葉に湯島はどう思っただろうか?

絵利に伝わってしまったのではないか…?

なんてことばかり考えてしまうのだ。


ずっと考えてはいられない。
人間そんなものであろう。
「まっ、いいか~」
簡単に考えるのが疲れた呉汰であった。
「考えすぎて疲れた…。」

呉汰は外の風景を何も考えずに見ていた。

平和だった。

おばさんたちが自転車を片手におしゃべりしていたり、
カップルが手をつないで、楽しそうに歩いていたり、
天気がポカポカしていた気持ちがいい。