江北くんにとって呉汰はヒーローだった。

笑われていた時、一番辛かった。

どこがいけないのだろう?
ダサいのだろうか?
悩んでしまった。

その時は無視されていた。

「ハイ、ノート。先生が返しておいてくれって頼まれたから。」

無視されていた時でも呉汰は江北くんに話しかけてきた。
江北くんは嬉しかった。

「あ、有り難う。」
「ん、よく勉強してあるって先生が褒めてたよ。」

呉汰は嫌がることなく話した。

江北くんは泣いてしまった。

「え!?どうした?大丈夫か??」

呉汰は心配して江北くんの顔を見る。

「ごめん、嬉しくって…。」

「ん?褒められたことがそんなに嬉しい?」

呉汰には江北くんの気持ちがいまいちわかっていなかった。

江北くんはイジメられて、誰とも会話できなくて淋しかった。
けど呉汰が本当に普通に話してくれて嬉しかったのだ。
泣いてしまうほど、感動してしまったのだ。

江北くんにとって呉汰はいい奴であって、大好きだった。

けれど、今日呉汰に冷たく言われ、江北くんは気持ちが落ちた。

そして彼は、自分の部屋に閉じこもってしまった。
ひきこもりになってしまったのだ。

江北くんの気持ちなんて分からずに呉汰はイライラしていた。