いや逃げた。

見ていたくなかった。

二人には誰にも見えることのない絆があった。

呉汰はその絆が嫌だった。

切ることのできない、
自分にはつながっていない二人の絆。

呉汰の完敗だ。

気持ちを言う資格もなくし、
もう本当に忘れるしかないのだ。

どこにもぶつけることができない。

呉汰は情けない自分にがっかりだった。