「ハァ」
呉汰は歩きながら大きな大きなため息をつく。

今日は春休み最後の日。

呉汰は休みだが暇だったため、
散歩がてらに本屋へと向かった。

本屋である本がほしかったが、その本を手にしようとした瞬間、
隣りの人にとられた。
そして、それが最後の一冊だったりした。
呉汰にとって、のどから手が出るほどほしいものではなかったが
何か悔しいものがある。

プチン
「うわっと」
呉汰は靴のヒモが切れた。
転びそうになった呉汰は小さく叫んだ。

呉汰の靴はこの前買ったばかりの安物のスニーカーだった。
白で緑の線が3本入っている。
オシャレのような…そうでもないような普通の靴だった。

呉汰はしゃがみ込む。
靴をそっと見つめ…。

「むなし過ぎる。
 なんで俺がこんな目に合わないといけないんだろう?」

むなしさを感じていた。
そのまま時間が過ぎた。

呉汰はバッと我に返り、立ち上がった。
そのまま本町家に帰って行った。
むなしさを心に残しながら…。