「まだ、一回しか言ってないだろ?
 何回も何回も『モデルになりたい』って言えばさ。
 親だって、分かってくれるよ。
 大丈夫!湯島ならモデルでやっていけるから。」

呉汰は湯島が元気になるように励ました。

「…だな。
 たった1回反対されたからってめげてちゃダメだよな。
 本気でモデルになりたいんだから、
 何回もぶつかってわかってもらわなきゃな。
 有り難う、呉汰。」

湯島は再びやる気を出した。

いつもの湯島の笑顔に戻り、呉汰も安心した。

その数日後…。

湯島はモデルのスカウトをされた。

ちゃんとではないが、親にも許しを得られた。

何もかもがうまくいっていた湯島だった。

呉汰はただ見ていた。

うらやましくて仕方なかった。

呉汰には何もなかった。

やりたいことも夢も運も何もなかった。