湯島との出会いは高校に入ってからだった。

「入学してきた新一年生にすっごくかっこいい子がいる」

と女子からの人気が激しかった湯島。

入学式、2,3年のミーハー女子から
キャーキャー言われていた湯島は、
そんな女子に手を振ったり、ウィンクしたりしていた。

そんな注目を浴びていた湯島を呉汰は嫌っていた。

(真面目な式中に手を振ったりして、
 不謹慎な奴だ。
 緊張感もない。)

と、心の中で思いムカムカしていた。

単純に注目を浴びたかっただけだ。

湯島の立っている場所に呉汰も一度でいいから立ちたいのだ。

けど、呉汰に湯島のような容姿はなかった。

うらやましいのだ。
男の永遠の夢であるから……。

(あいつ、嫌いだ)

呉汰は悔しさが嫌いとなっていた。